Writing Sample (Book)

序章:ゆるり風水生活

自然と暮らす

私たちは昔から自然の中に流れるエネルギーを感じ、敬い、恐れながら、一緒に暮らしてきました。

風水の基本は環境学と地理学です。学問と付くと難しそうですが、基本はいかに自然と共存しながら生活するか、ということです。その地域の気候や風土を知り、その土地に暮らすための知恵を知り、より良い環境づくりを目指す ー これだけ聞くと分かりづらいかも知れませんが、たとえば、雨の多い地域では川の近くに住むと水害の恐れがありますね。山の多い地域では地すべりがあるかもしれません。また、安全そうに見える土地でも住人に聞いてみないと分からない問題もあるでしょう。こうして情報を集めて土地を選び、家を建てた後も間取りやものの置き方などで気の流れを決め、その効果をまとめ上げたものです。


現代では、土地を選ぶこともなかなか難しいので、部屋ごとに考えられた風水が良く使われています。本書でも方角別・部屋別の風水アイディアをまとめてあります。


元々は中国から渡ってきた風水ですが、日本の気候や風土に合わせて独自の変化をとげていきました。そして今も進化し続けています。


太陽の昇り方や季節の巡り方は不変ですが、家や心地よさは時代によって変わっていくものです。排水設備がなかった時代と現代では考え方が全く違いますね。色々考えてしまいますが、その時、自分が気持ちよく感じられる環境をつくっていけば良いのです。



風水の基本の基本

実践の前に、風水の基本となっている「陰陽五行説(おんみょうごぎょうせつ)」について少しお話します。


まずは、陰陽説(おんみょうせつ)。陰陽師(おんみょうじ)などのマンガやドラマが流行ったので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。


陰陽(おんみょう)とは、中国の易に由来する考え方です。宇宙の全てをつかさどる二つの相反する「気」のことで、どちらか一方だけでは成り立ちません。全ての物事には二つの側面があるという考え方です。たとえば、朝と夜。月と太陽。女と男などです。この二つの相反するものが支え合い、神羅万象のバランスを取っています。


次に五行説(ごぎょうせつ)です。五行とは、この世の全てのものは「木・火・土・金・水」という五つの「気」を持つ「性質」に分けられるという考え方です。この五行のバランスが取れていると運気が安定します。


そして重要なのが、その五行を基本とした相生説(そうじょうせつ)です。お互い影響を与え合い、成長していく関係です。たとえば、木は燃えて火になり、火は燃え尽きると灰になり土になる。土は中で金(鉱物)を生じる。金は冷えると水滴をあつめ、水になる。水は木を育てる…という与えあう関係が永遠に続いていきます。


これに反する考え方が相剋説(そうこくせつ)です。互いに反発しあい、良いところを抑え込んでしまう関係です。木は土から栄養を吸い取り、土は水を吸収してしまい、水は火を消してしまい、火は金を溶かしてしまい、金は木を傷つけ、切ってしまいます。


風水では、相生説が重要です。この与え合う関係を上手く使ってバランスを整えるところから始まります。


本書の中にも登場しますので、何となく覚えておいて頂ければ後できっと役に立ちますよ。



風水の効果

風水は、どなたでも効果を感じて頂ける公平なものだと思います。ただ、取り入れてすぐに効果が出るものではなく、その環境に人がなじんでから変化が表れ始めるので、いつ効果が出るとはいえないものです。


たとえば、湿気の多い小さな部屋から陽の当たる広々とした部屋に引っ越したとしても、部屋に慣れリラックスして眠れるようになるまで時間がかかりますね。家具を入れて、自分のものを置いて、窓を開けた時の風の通りも決まってきて、ようやく風水の効果が出始めるわけです。


また、どの程度の効果を期待しているのかでも違います。「お金持ちになれる財布」を使い始めたからといって、急に大金持ちになれる訳ではありません。その財布のお陰でお金の使い方を意識し出し、行動に変化が出始めます。そしてお金に感謝し、仕事に感謝するようになる。そこから風水の効果が出始めるのです。


風水だけに期待せず、自分も変わる努力が必要ということです。


日々の暮らしに気軽に取り入れていただける風水アイディアを色々と紹介いたしますので、出来ることからゆるりと風水生活を始めてみませんか。

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